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日本最後のフロンティア!? 日本三大秘境を未来へ紡ぐ地域おこしプロジェクトが始動! (宮崎県椎葉村)

“秘境” と聞いてどんな印象を抱くだろうか?冒険心をくすぐられるとともに、同時に何か神への畏怖のようなものを覚える人も多いのではなかろうか。そしてこの日本にも、古(いにしえ)の時代から現代に至るまで「日本三大秘境」として受け継がれるエリアがあることをご存じだろうか?

今回は「日本三大秘境」の一つ、宮崎県椎葉村を舞台に地域おこしを推進する人材を募集すると聞いて、早速現地に向かった。.

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“秘境”と言われる由縁

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宮崎空港を降り立ち、まずは1時間ほど電車に揺られて日向市へ。そして日向市駅でレンタカーを借り、耳川沿いを下流から上流へ車を走らせること更に約2時間、ようやく今回の目的地・椎葉村にたどり着いた。

宮崎県の最西北端、九州山地の中央に位置し、村全体の実に96%が森林という椎葉村は、岐阜県白川郷、徳島県祖谷とともに日本三大秘境の一つとされている。

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壇ノ浦の戦いに敗れた平家の残党が隠れ住んだ土地でもあり、四方は山に囲まれて古くは“陸の孤島”だったため、現在でも独自の文化を維持し、民謡や民話など独自の慣習や伝統文化が残っている。

「近隣地域との道路網が整備されるまでは道路事情が悪く、長年にわたって外部とのアクセスが不便だったため、村内でほぼすべての生活を完結させていました。そんな環境だったことから、村を守る想いや結束力が自然に高まっていったのだと思います。」と椎葉村町役場の椎葉豊さんはその理由を語る。

そんな椎葉村は“相互扶助”を意味する“かてーりの里”とも呼ばれ、現在約2,800人の村人は、この精神を受け継ぎながら、大自然の中で、スローでシンプルな暮らしを楽しんでいる。また古代農法の一つである「焼畑農業」は縄文時代から伝承され、今では日本で唯一、椎葉村でのみおこなわれている。

夏に雑木を刈り乾燥させた後に火を入れ、焼いた後にソバを栽培。また秋に刈った雑木を乾燥させて越冬させてから焼いた後にはヒエを播く。このように土地を4年使用すると地力が衰えるため、30年ほど放置して元の雑木林に戻していく。なお焼土は雑草や病害虫を防除する効果があり、そのため「焼畑農業」は肥料や農薬を使わない自然に優しい農法とされている。そして2015年末には、こうした農耕文化を継承している点などが評価され、周辺の町村とともに「高千穂郷・椎葉山地域」として世界農業遺産に認定されるに至った。

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広島県出身の青木さんは、自然と共生する生活を求めて西日本各地を回り、 焼畑農業に代表される自然に優しい環境に惹かれて、椎葉村に移住してきた。

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秘境を守り、そして後世へ紡いでいくために

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しかし昭和30年代は10,000人を超えていた人口も、その後は年々減っていき、今では当時の1/3までになってしまった。また村内には高校がないため、一度村外に出てしまうと、村には仕事がないと出て行ったきりになってしまう若者も多い。そこで古から継承してきた自然や伝統を守りつつ、発展させた形で後世に紡いでいくために、今回椎葉村では6つのテーマで、計8名の地域おこし協力隊を募集することになった。

「今までは何もしなくても何とか村運営は成り立ってきましたが、これからの時代は何か手立てをしなくては衰退の一途をたどりかねず、ひいては何百年と継承してきた文化を途絶えさせてしまうことになりかねません。とはいえ移住は人生の大きな決断ですから、環境が整わないままに闇雲に移住者を誘致しても、お互い不幸な結果に終わってしまいます。そこで村の資源を活かしながら新たな仕事をつくり、そして椎葉村に住みたいという人たちを増やしていくために、まずはその基盤づくりを進めていく人材を募集することにしました。」とその主旨を椎葉さんはこう語る。

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そのとき“よそ者”“若者”がキーワードだと言う。

「方向性はある程度こちらで考えていますが、手段については何も決めておらず、隊員の方の裁量にお任せしたいと考えています。村人には“日常風景”になってしまっていて気づいていない村の魅力を、是非外からの視点で発見して、そして活用方法を検討してもらいたいと思っています。」(椎葉さん)

 

<秘境de農業>
椎葉村では高冷地を活かして、他地域と生産・出荷時期をずらした農業が盛んである一方、生産者の高齢化により離農率が増加している。そこでミニトマトやホウレン草など、ビニールハウスでの農業を熟練者に学ぶとともに、冬期の農閑期には六次産業化など、自立した農業スタイル創りに取り組む人材を募集する。また任期終了後は、村で整備したハウスをリースで借りられるなど、初期投資を抑えて就農することが出来る環境を提供する。

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宮崎市から椎葉村に移住し、ハウス栽培に取り組む田中さん。冬のフルーツである苺を夏に生産するほか、今冬からデルフィニウム(花)の栽培も始めた。

 

<木業化プロジェクト>
村土の96%が森林という豊富な森林資源の新しい活用として、レーザーカッターや3Dスキャナーなどのデジタル機器を使った木工製品の開発や、村営林をフィールドにした森林アスレチックやツリーハウス製作など、体験・観光、学習などのさまざまな活用を模索し、全国に先駆けた新しい取り組みを創っていく人材を募集。

 

<空き施設利活用プロジェクト>
椎葉村内にある空き家、公共施設、加工場など、使われていない施設の発掘から、利活用の検討、そして実際に活用に向けた取り組みまで一貫的におこなっていく人材を募集。

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<インバウンドリーダー>(募集終了)
日本三大秘境と呼ばれ、世界農業遺産にも認定された焼畑やさまざまな伝統文化など、椎葉村の魅力を外国人旅行者向けに発信しながら、インバウンドへつなげていく人材を募集。なお観光協会としても、旅行業取扱管理者の資格を取得し、近々旅行業の登録をおこなう予定なので、今後は着地型観光(現地体験型)の企画や旅行会社との連携など、国内外の観光客誘致に向けて強化を進めていく方針だ。

 

<特産品開発>
椎葉村の豊かな自然の中で育った各種農作物を活かして、オリジナリティあふれる特産品を開発する人材を募集。

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椎葉村に自生する日本ミツバチの蜂蜜をひとつひとつ丁寧に採取した「椎葉の秘蜜」

 

<地域活性化支援> (募集終了)
壮観な棚田風景があり、和太鼓や里山づくりなどの取り組みをおこなっている、村内屈指の集落であり村の玄関口でもある松尾地区の活性化を支援する。

 

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なお、これらは一見すると別々の取り組みに見えるが、“木業化プロジェクト”で体験・観光型の利活用を進めながら“インバウンド”を増やすことで、“空き施設のリノベーション”や“特産品の販売”につながるなど「観光産業の振興」となったり、また“農業従事者を育成”し、そして作った農作物を“特産品”にすることは「一次産業の振興」につながるなど、それぞれのプロジェクトは有機的に連携・連鎖している。さらにこれらによって“しごと”や“家”が生まれることで、「移住者受け入れの整備」にもつながっていくことだろう。いわば “椎葉村地域活性化カンパニー”のもとでそれぞれが担当を持ち、そして他のメンバーと切磋琢磨しながら進めていくイメージだ。

またこれら取り組みが進んでいけば、「椎葉村では何か面白いことが起きている」と感度が高い人たちの間で話題になり、想定していなかった新たな動きにつながっていくことも期待される。

「本当に山奥の“秘境”ですので、都会的なものは一切ありません。しかし言い換えれば手つかずの状態ですので、無限の可能性が秘められています。なので、誰かが作ったレールの上で暮らすのではなく、ゼロから創り出すこと、開拓していくことにやりがいを感じる人にとっては、これ以上ない環境ではないでしょうか」と椎葉さんは胸をはる。

高度経済成長期以降、便利さを求める時代が長く続いた結果、我々は便利さや豊かさを手に入れた一方で、何か人として大事なものを失ってしまったのではないだろうかと感じることも多い。しかし椎葉村は自然や文化はもちろん、何よりもたった数十年前まで日本でも当たり前だった、自然と共生する生活、そして地域の結びつきという“原風景”がいまだに残っており、これこそが“秘境”と言われる由縁ではないだろうか。

 

 

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椎葉村地域おこし協力隊第1号の東野舞湖さん(2015年10月着任)

 

まずは椎葉村に来た経緯から教えてください。

宮崎市で生まれ育ち、学生の頃から将来は宮崎で観光業に携りたいと思っていました。とはいえ、一度は宮崎を外から見ておく必要があると考えて、まずは沖縄の大学に進学し、卒業後は首都圏で1年半ほど働いていました。そしてそろそろUターンしようと情報を探していた時に、椎葉村が地域おこし協力隊を募集していることを知り応募しました。

 

最初から地域おこし協力隊を前提に探していたのですか?

最初は県内の観光業の企業を想定しましたが、偶然見つけた椎葉村の募集にとても興味を惹かれました。というのも、まだ全く手つかずの状態で、これからいろいろ仕掛けていくための隊員募集だったので、自分のアイディアや頑張り次第で可能性が無限に広がっていくことに魅力を感じました。

 

宮崎市出身とのことですが、以前にも椎葉村に来たことはあったのですか?

椎葉村に来たのは面接の時が初めてでした。正直「ここは日本だろうか?」と思うくらいに、同じ県内でも環境がこんなにも違うことにかなり面喰いました(笑)。でも、面接の夜に山奥の古民家で囲炉裏を囲みながら地元の方々と交流していくうちに、「これから村を盛り上げていきたい」「一緒に力を合わせて頑張ろう」という情熱と温かさに打たれ、ここで頑張ろうと決心しました。

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そうして2015年10月に着任されたわけですが、具体的にはどのような活動をされているのですか?

現在椎葉村観光協会に所属して、観光体制の整備を進めています。村としては、私が着任する前からプログラムをつくったり、現地ガイドさんの確保・育成だったりなど、着地型観光(地域体験型)の準備を進めていました。また最近では観光協会として旅行業取扱管理者の資格を取得し、近々旅行業の登録をおこなう予定ですので、今後は外からの誘致も含めて、いろいろ仕掛けていく段階に入りつつあります。

とはいえ私自身はまだ着任から半年足らずで、村のことをすべて把握できているわけではないので、まずは村内をいろいろ巡っては、よそ者の視点で地元の方が気づいていないような魅力的な場所や体験を探してはプログラム化を検討するなど、着地型観光の拡充に向けて取り組んでいます。また日常の様子を切り取りながら、椎葉村の魅力を外部へ伝えるために、SNSでの情報発信にも取り組んでいます。

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まだ半年足らずとのことですが、今後はどんなことをしてみたいですか?

観光って、もちろん自然だったり名所だったりといった要素もありますが、“人”が最たるコンテンツなのだと思います。私自身、今まで旅行したりホームステイしたりしてきましたが、今でも思い出に残っているのはその地域の人との交流です。なので訪問者と地元の方々との触れ合いを生み出し、そしてお互いに笑顔になれる、そういう機会を一つでも多く作れるようにしていきたいと思います。

 

お休みの日はどのように過ごされていますか?

日常的に集まりが多いほか、集落ごとにいろいろと伝統行事があるので、そういう時には積極的に参加させてもらっています。やはり同じ時間を共有するのが、地元の方と仲良くなるには一番手っ取り早いですからね。

また椎葉村だけでなく近隣地域のことも知っておこうと思って、椎葉村周辺の市町村の地域おこし協力隊の方々と連絡を取り合って、情報交換したりさせていただいています。これから暖かくなってきたら、一緒にいろいろ小旅行もしようと思っています。

 

では最後に応募者にメッセージをお願いします。

応募した当初は、任期が終了したら宮崎市へ戻ろうかなと思っていましたが、椎葉村で暮らし始めたら、毎日が楽しくて楽しくて、今はずっと椎葉村で暮らしたいという想いで一杯です。そんな想いになれたのは、受け入れ側の地元の人の温かさはもちろん、私自身もお客様としてではなく、一村民としてありのままの椎葉村を受け入れる姿勢でいたからだと思います。

不安もいろいろあるかもしれませんが、村を尊重する想いをきちんと持っていれば、地元の方々が自然とサポートしてくれますし、応援してくれます。

確かに都会と比べれば不便なことばかりですが、不便だからこそ創意工夫する面白さもあります。そんな無限の可能性を秘めた村を一緒に開拓していきましょう!

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九州の中央山地に位置し、常緑樹の緑に包まれた人口約2,800人ほどの静かな村・椎葉村。四季を通じた景観の移り変わりは訪れる人に日本の原風景を連想させる。

古くは平家落人が定着したと言われ、独特の文化を残し、自然との共生や緩やかな人間関係が根付いている一方で、全世帯に光ファイバーが敷設されるなど、都市部と変わらない情報インフラが整備されつつある。

 

<自然・気候>

宮崎県内陸部の九州山地、耳川上流部の源流域に位置する。村としては日本第5位の広大な面積を有し、九州山地中央部の標高1,000~1,700m級の山々に囲まれるなど、96%が森林で占められている。

標高が高いため夏場は冷涼で、冬も九州南部としては寒冷であるが雪は少なく、年平均気温は14.9度と過ごしやすい気候である。

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<産業>

豊かな自然環境を活かした農林業が全体の33.7%と最も多く、建設業、医療・福祉関係、宿泊飲食などのサービス業と続く。林業はスギ、ヒノキを中心とした木材生産が、農業は高冷地の特性を生かし、花卉や野菜の生産が行われている。

 

<文化>

椎葉村では、農耕をする人々の労働歌になっている「ひえつき節」をはじめ、犬を用いて猪や鹿を狩る「狩猟生活」や、肥料や農薬をまったく使わない「焼畑農業」など、山間の険しい自然環境でさまざまな文化が生まれ、「椎葉神楽」(国指定重要無形民俗文化財)や「臼太鼓踊り」、春祭りの「的射」などの伝統的な行事は、今でも村の恒例イベントとしておこなれている。

また日本民俗学の創始者と呼ばれる柳田国男(国は口+或)が著した「後狩詞記(のちのかりことばのき)」では、そのほとんどが椎葉村の狩猟民俗に関して占められていたほどであった。

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宮崎県椎葉村

  • 山がある
  • アウトドアスポーツが楽しめる
  • 農林水産業従事への支援がある
  • 育児支援がある
  • 住宅支援がある
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