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中国・四国
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お待たせしました、いよいよ田舎の出番です!~森林ライフのすすめ~(鳥取県智頭町)

新たなライフスタイルを田舎から提案

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鳥取県の東南部に位置し、岡山県との県境に面する智頭町。周囲は1,000m級の中国山脈の山々が連なり、町の総面積の実に93%を山林が占める。

見渡す限り、山、山、山。智頭町に降り立ったときの第一印象だ。

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そんな智頭町の杉の木は、「吉野杉」「秋田杉」に並んで日本を代表する杉とされ、古くは林業で栄えたという。しかし近年は、木材離れや外国産木材の輸入により、国産材の価格下落が続いた結果、林業従事者は減少し、このままでは山が荒れ果ててしまうことにもなりかねない状況にまで陥いることに。

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そんな危機感から智頭町では、この恵まれた自然を有効活用しようと、2008年に町民141人が参加した「智頭町百人委員会」が立ち上がり、さまざまな視点からアイディアを出し合い、そして行動に移していった。

そんな智頭町の森林活用の代表的なものとして、自然の中で幼児保育する「森のようちえん まるたんぼう」や、健康維持・増進、疾病予防に向けた「森林セラピー(R)」などが挙げられる。

 

■「森のようちえん」

「森のようちえん」は、園舎がなく、森や川、青空の下、すべてを学びと遊びのフィールドとしている。現在町内の14ヵ所の森や公園をフィールドに、スタッフと子どもがのびのびと自然を日々探検している。また決まった遊戯をさせるのではなく、子どもたちの自主性や主体性を伸ばすために、“見守る保育”を基本としているのも「森のようちえん」の特長である。子ども一人ひとり感性が異なるため、興味を示すものも子どもによって違う。そこで、大人があれこれ指示を出すのではなく、子どもがやりたいと思うことに対して、大人は寄り添って見守る。そんな方針で「森のようちえん」は運営されている。

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そんな「森のようちえん」は、東京出身で、森や熱帯林を研究するために沖縄や東南アジアなどを回ったのち、結婚を機に鳥取県に移住してきた西村早栄子さん(写真)が、「百人委員会」で提案したのがきっかけだった。

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西村さんは当初鳥取市に住み、鳥取県庁の林業職員として智頭町を担当していた。しかし鳥取市から智頭町に何度も通っていくうちに、「こんなに緑に囲まれた町で、子育てしたいな」という想いが高まっていき、第二子が誕生した2006年に智頭町に移ることに。

住んだのは、歩いて2分で森の中という集落。小さな子どもを連れては、森の中を散歩する毎日に、子どもがのびのびと育っていることを実感出来たと言う。

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一方で都会の友達たちを見てみると、都会の雑踏な環境のなかで育児に悪戦苦闘していて、智頭町に遊びに来た友達は「こんな環境で子育てが出来たら最高だよね」と皆口を揃えて羨ましがったそうだ。

そんな声を聞くうちに西村さんは、「都会の人の中にも自然が豊かな地域で子育てしたいと考える人がいる。そんな人たちを智頭町に呼び込めたら。」と考えるようになっていく。

そこで西村さんはそんな想いや構想を「百人委員会」で提案し、2009年に「森のようちえん まるたんぼう」を、そして2013年には2園目として「すぎぼっくり」を開園した。

「森のようちえんを通じて、日本人らしい日本人をつくれたらと思っています。国際化の今の時代、幼いころから英語を習わせることも多いですが、あくまで英語はツールにしか過ぎず、何を伝えるかということのほうが重要ではないでしょうか。そのとき、日本人らしい感性だとか、日本人らしい考え方だとか、そういうことを学ぶには、智頭町のような豊かな自然や文化、そして人情にあふれた環境で、子ども一人ひとりの感性を伸ばしていくのが、一番なのではないかというのが私の答えです。」と、西村さんは「森のようちえん」に込めた想いをそう語る。

 

■森林セラピー(R)

一方、この自然環境の恩恵を享受するのは、子どもだけではない。都会の企業の多くは社員のストレス、つまりメンタルヘルスに課題を感じていると言われる。ストレス社会の中、いかに社員のストレスを解消するかで、会社の命運が決まると言っても過言ではない。

そこで智頭町では、都会の課題を田舎が解決しようと2011年に「森林セラピー(R)」を開始した。ただ森を歩くだけでも、一定の森林浴効果を受けることは出来るだろう。しかし智頭町の「森林セラピー(R)」では、森林浴を楽しむことに加えて、さらにガイドから運動やリラクゼーションの指導を受けることで、その効果を高めようというものだ。なお「森林セラピー(R)」は、健康維持•増進や疾病予防の効果など、医学的な研究も進んでいる。

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そしてそんな効果が期待できる環境に囲まれて、町民たちは日々生活を送っている。実際、リラクゼーション効果や創造性の向上を求めて、都会の無機質な空間から、智頭町の豊かな自然に身を移す、そんなクリエイターなどもいるそうだ。

このように、「森のようちえん」や「森林セラピー(R)」をはじめとしたさまざまな取り組みが話題になるにつれて、智頭町はファミリー層を中心に移住者からの注目を集めるようになっていった。また、これら取り組みを通じて「智頭町では、森林を活用した町づくりが推進されている」というある種のブランドが浸透するにつれて、自ら自然資源を使った取り組みをしたいと考える起業家なども、智頭町に集まり始めていると言う。

 

同じ時間を共有するのが一番の近道

こうして全国から移住者が集まる智頭町だが、“よそ者”が好き勝手に暮らしているわけではもちろんなく、移住者と地域住民との交流も盛んだ。

もともと智頭町は、ここに住む人たちも「開催日が重なって困る(笑)」と言うほどお祭りやイベントが多い。「百人委員会」で始まった取り組みだけでなく、古くからこの土地に住む人たちも、自然に敬意を示し、そして自然を楽しむ生活を送っていた。その最たるものがお祭りでありイベントだ。

春には河川敷で行われる「桜caféフェスティバル」、夏には「来んさい!見んさい!踊りん祭!!」、秋には百人委員会が発案した「ハイカラ市」、冬には「雪祭り」といった、四季それぞれで祭りがあるほか、全国でも珍しい杉の精霊を祀る神社の例祭などもあるそうだ。

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またイベントやお祭り以外でも、移住してきた際の地域での歓迎会の費用が町から補助されるなど、移住者が早く地域に溶け込めるように、町役場でも積極的にバックアップしている。

智頭町役場 企画課の芦谷健吾さん(写真)は「田舎なので、皆で助け合って生きていかなくてはなりません。したがって移住されてくる方にも、近所づきあいを大切にしていただけたらと思います。そのためには、まずは同じ時間を共有するのが一番の近道ですので、イベントやお祭り、飲み会などを通じて、1日も早く地域に溶け込んでいただけたらと思います。」と語る。

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“自然豊か”と謳う地域は多いが、正直なところ日本全国、都市部を除いて大半は自然に囲まれた地域である。単に風景が綺麗というだけでは、観光客を魅了出来たとしても、生活するとなると、じきに飽きてしまうことだろう。そうしたなかで智頭町は、ただ単にその環境の良さを謳うだけでなく、自然を活かした新たなライフスタイルを提案し、そしてその提案が多くの人たちに受け入れられていると言える。

そしてそのために寺谷誠一郎智頭町長は「お待たせしました、いよいよ田舎の出番です」を合言葉に、豊かな自然資源を活かしたまちづくりを推進している。ただそのとき智頭町では、決してトップダウンではなく、「百人委員会」を筆頭に、町民からのアイディアに対して予算をつけるなど、町民自らが主体的に取り組もうとすることに対して行政が支援する、そんな形を採っている。

さもすると、地域おこしで盛り上がっている地域を見ていると、実際は一人のカリスマ的人物がフィーチャーされ、他の多くの人たちは“その他大勢”になっているケースだったり、地域おこしの事例として名を馳せることを目的にしたりしているケースも散見される。しかし智頭町は、まずは町民一人ひとりが自身の生活を基本とし、そして自分の生活を豊かにするために、町の活性化に関わっている。そんな印象を受けた。

田舎だからこそ、町民だからこその新たなライフスタイルが、きっと今後もこの地から次々と生まれてくるに違いない。

 

智頭町移住・定住促進Webサイト「田舎暮らしのススメ」 http://www1.town.chizu.tottori.jp/town/

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渡邉格さん(「タルマーリー」にて)

 

人口7,500人ほどの智頭町で、多いときには1日400人ものお客さんを呼び込むパン屋さん「タルマーリ―」を運営する渡邉格さん。渡邊さんは、理想の環境を求めて動き続けた結果、2015年に智頭町にたどり着きました。

そこで智頭町にたどり着いた経緯や、智頭町での暮らしについてインタビューさせていただきました。

 

もともとご出身はどちらなのですか?

東京の東大和市の出身です。東京と言っても東大和市は西部なので、比較的自然に囲まれた環境で育ちました。

 

学校卒業後、すぐにパン職人になったのですか?

若い頃はいろいろ遊んでいたのですが(笑)、25歳で大学に入り、卒業後は農産関係の会社に就職。その後31歳の時にパン職人の道に入り、36歳で独立しました。

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最初はどちらでお店を開かれたのですか?

自然豊かな土地で生まれ育ったこと、また妻の体調があまりすぐれなかったことから、田舎で暮らそうと考えました。ただ二人とも実家が東京だったので、東京からほど近い、適度な田舎ということで、千葉県いすみ市で開店しました。

 

その後智頭町に移ってきたのですか?

いいえ、いすみ市の次は、岡山県真庭市(勝山)に移りました。当店では、空気中から全ての菌を採取して、その菌で発酵することをコンセプトにしているのですが、いすみ市は田舎とは言え、東京に近く、あまり適した空気ではなかったため、麹菌をどうしても採取できませんでした。

そこで空気がもっと良く、麹菌を採取でき、且つ醸造文化があるところという条件でいろいろ探して、最終的に勝山に移りました。

ただ勝山では麹菌の課題は解決できたものの、今度は水問題に直面しました。当時わざわざ水を汲みに行っていたのですが、身体的にしんどくなってきたので、敷地内で水を手に入れられるところが良いなと思うようになりました。また発酵物として、パンだけでなく、ビールにも挑戦したいという気持ちが高まっていきました。

そこで勝山をはじめ、周辺地域まで範囲を広げて物件を探していたのですが、ちょうど同じ時期に「子どもを智頭町の『森のようちえん』に入れよう」という話になり、願書を提出しました。するとその話が智頭町役場の耳に入り、紹介されたのが今の物件でした。

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そうして智頭町に移られてきたわけですね。

2014年末に契約を済ませ、2015年初頭からDIYでお店作りを進めて、そして同年6月にオープンしました。

 

もともとDIYをやられていたのですか?

なるべくお金をかけないように、自分で出来ることは自分でやろうと思って、いすみ市でお店を出すことになった時に、初めてDIYに挑戦しました。それまではドライバーさえ持っていませんでしたが、そのうちノコギリを、電動のこぎりを、などと購入するようになっていきました。智頭町のお店は、設備系以外はほとんどDIYで仕上げました。また建物だけでなく、ビールをつくる釜やビールサーバーなども私のハンドメイドなのですよ。

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生活についてもお話もお伺いしたいのですが、お子さんはおいくつですか?

小学校5年生の女の子と小学校1年生の男の子の二人います。特に上の子には各地を転々とさせてしまい、新しい環境に慣れるのに苦労させてしまいましたが、大きくなった時に、きっと良い経験になるのではないかと思います。

また下の子は、昨年1年間「森のようちえん」に通わせました。それまでは内向的な性格だったのが、「森のようちえん」で揉まれて、精神的にたくましくなりましたね。今年から小学校に入学しましたが、新しい友達とも仲良くやっているようで、一安心しています。

 

今まで各地を転々とされてきたわけですが、智頭町はいかがですか?

どこもそれなりに良いところだったので、比較はできないですが、智頭町の良さは、この自然環境、そして食材の良さですね。特に山菜は絶品です。町内には、とれたての旬の食材を使ったお店が多いので、外食することも多いですね。

また普段の買い物は町内でほぼ済ませられますし、鳥取市内まで車で30分なので、何か用がある時は、鳥取市内に行くこともあります。それに今の時代、ネットでも買い物は出来ますしね。

自然豊かな環境のなかで、日々美味しいものを口にし、子どもの成長を見守る。こんな贅沢なことは無いですね。

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それでは最後に移住を考えている方にアドバイスをお願いします。

移住するとなると、暮らしが変わるわけですから、まずは家族で徹底的に「何を大事にするか」「譲れないものは何か」、つまり価値観について話し合うことが大切だと思います。

そしてそれが明確になったら、あとは逃げ道とか保険とかあれこれ考えずに、行動するのみですね。私自身、そもそも行動に移さなかったら、智頭町に巡り合えなかったわけですから。

 

有難うございました。

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<自然環境>
鳥取県の東南に位置し、南と東は岡山県に接している。周囲は1,000m級の中国山脈の山々が連なり、町の総面積の9割以上が山林で、スギをはじめとする見渡すかぎりの緑が一面に広がっている。

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気候は日本海側気候に属し、冬は雪が多い。春にはソメイヨシノ、シャクナゲ、ドウダンツツジ、夏には清涼な緑が、秋は紅葉、そして冬には雪化粧と、1年を通して町を彩る植物や美しい自然にあふれている。
<生活環境>
智頭駅周辺を中心にスーパーマーケットをはじめ、銀行や商店、総合病院などがあり、日常生活は町内で済ませられるほか、鳥取市内まで車で30分程度なので、大きな買い物は鳥取市で購入する町民も多い。

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智頭病院とスーパーマーケット。智頭病院には救急用のヘリポートも併設されている。

また智頭町では、町ぐるみでお産を手助けする「育みの郷」づくりに乗り出している。山林に囲まれた土地で、田舎の人たちが一緒になって子どもの誕生を待ちわびる、そんな安心してお産ができる場所を目指している。

 

 

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鳥取県智頭町

  • 夏が涼しい
  • 山がある
  • 医療・福祉施設がある
  • 交流・体験・お試し制度がある
  • 育児支援がある
  • 住宅支援がある
  • 就職・転職支援がある
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