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なぜあの町が「住みたい田舎ベストランキング」総合第1位になったのか?(鳥取県岩美町)

鳥取県の右上、日本海に面した海と山と温泉の町・岩美町。岩美町の海は、山陰海岸ジオパークに指定されるほどの景観美に加えて、日本有数の透明度を誇ることから、一昔前は多くの海水浴客でにぎわっていた。しかし近年は海水浴を楽しむ習慣自体が薄れていることから、海水浴客は減少傾向にある。

一方で最近は、サーフィンやスキューバダイビング、カヌーといったマリンスポーツを楽しむ人だったり、アニメ「Free!」のロケ参考地になったことからアニメファンだったりなど、新たな層が岩美町を訪れるようになってきた。

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そのなかから、何度も足を運ぶうちに、岩美町の魅力の虜になって移住する人たちが出始めたり、岩美町の魅力が発信される機会が増えたりするに伴って、移住候補地として注目を集めるようになる。そしてついには移住専門誌が発表した「2016年版  住みたい田舎ベストランキング」で総合第1位に輝くまでに至った。

移住者たちを虜にする魅力とはいったい何なのだろうか?本当に総合第1位に輝くほどの町なのだろうか?この目で確かめることにした。

 

海とともに生きる~自然環境~

 

岩美町を語るうえで、まず真っ先に挙げられるのが、その恵まれた自然環境だろう。

岩美町の海岸は変化に富み、地質学的にも重要な岩礁と砂浜が続いていて、ユネスコが認定する山陰海岸ジオパークのエリアに指定されている。そんな岩美町の海は、全国でもトップクラスの透明度を誇り、海水浴場としてはもちろん、ダイバーやサーファーの間でも有数のスポットとして知られている。

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またレジャーだけでなく、漁獲量日本一の松葉ガニをはじめ、モサエビ、赤ガレイ、白イカ、岩ガキなど、地元でとれた海の幸や山の幸が手頃な価格で手に入り、毎日の食卓に並ぶ。

大阪出身で、全国各地を転々とした後、現在は岩美町の地域おこし協力隊として活動する間渕武志さんは、「海の近くだから、それなりに美味しいだろうとは予想していましたが、ここまで美味しいとは思ってもみませんでした。スーパーで買う魚すら、よそとは全然違いますね。」と、岩美町の幸の美味しさを力説する。

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そんな間渕さんは、毎年スキューバダイビングをしに岩美町に来ていたが、ある時地域おこし協力隊の話を聞いて、隊員として岩美町へ赴任。一時は海水浴客でにぎわった民宿も年々減少傾向にあるなか、民宿「昭和民宿 龍神荘」の再生に現在取り組んでいる。任期満了後は、この民宿を買い取り、オーナーとして運営するほか、地元の人たちが関心を示さずに、岩美町の海でひっそりと眠っていたナマコなどの地域資源を使った特産品の開発も進めていく予定だ。

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間渕さんは、地域おこし協力隊が任期満了した後も、岩美町に残って民宿経営や産品開発に携わる予定だ。

このように、岩美町の自然環境は、マリンスポーツを存分に楽しみたい人や、子どもをのびのびと育てたい、安心・安全な食べ物を食べさせたいという子育て世帯を魅了すると同時に、最近では間渕さんのように、この豊かな自然を活かして起業しようと移住してくる人たちも増えているという。

 

「移住してきて良かった」と思ってもらえるために~支援制度~

 

こんな自然環境で暮らしたい。でもいきなり移住して「やっぱり違った」とはならないだろうか?暮らすとなると、家や仕事はどうしようか?また都会と違って、田舎は地域の結びつきが強いので、上手く地域に溶け込めるだろうか?

移住を考える際には、さまざまな不安がつきまとう。

そこで岩美町では、それら不安を少しでも解消し、「岩美町へ移住して良かった」と思ってもらえるように、各種支援制度を充実させている。

まず移住する前段階では、最大で3か月間利用できる「おためし住宅」が用意されているので、岩美町での実際の暮らしを体験したり、地域住民と交流したりしながら、岩美町が自分に合うかどうか肌で確認することが可能だ。

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生活に必要最低限の家具が揃っている他、スーパーマーケットや役場なども徒歩圏内だ

そしていざ移住を決定したら、次に気になるのが住むところと働くところ。住むところは、町内の空き物件を集約した「空き家バンク」で探すことが出来、その物件を改修する場合は改修費が補助される。

仕事については、(公財)ふるさと鳥取県定住機構や商工会などと連携して就職支援するほか、鳥取市内まで車で15分程度なので、鳥取市の企業に就職する手もある。なお岩美町では、雇用支援の一環として、鳥取市に本社を置くIT企業の株式会社LASSIC(ラシック)と地方創生パートナーシップ協定を締結するなど、就職における相談・支援体制を整えている。

また岩美町に移住してくる理由として「子育て環境」を挙げる人も多い。もちろん自然環境だけでも十分に子育て環境として恵まれているが、さらに岩美町では、出産から、産後、保育、そして小・中・高校に至るまで、子どもの成長段階に応じた助成制度を用意している。またせっかく自然豊かな環境であるのに、教室で教科書を読むだけではもったいない。そこで町内の学校では、自然体験型の課外授業を積極的に実施している。

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但しいくら家が見つかっても、仕事が見つかっても、子育て支援があっても、それらは生活するうえでの必要最低限の“インフラ”にしか過ぎない。いくら“インフラ”があっても、不安や不満など心が充足されなければ、移住してきて良かったとは決して思えないことだろう。そして暮らしを豊かに出来るか否かは、地域に上手く溶け込めるかどうかにかかっていると言っても過言ではない。

そうしたなかで移住してきた若者5名が、これから移住してくる人たちを応援しようと「うみねこ舎」という団体を立ち上げた。そして気軽に集まって、いろいろな人がつながれる拠点をと、「caféニジノキ」を2016年春にオープンさせた。

元々は神戸のイタリアンレストランで働いていたが、サーフィンが好きで、海の近くで暮らしたいという想いから岩美町に移住してきた、「うみねこ舎」の川元壮一・仁子さんご夫妻は、「せっかく移住してきたわけですから、ここで暮らす意義みたいなものをつくりたいと、うみねこ舎を立ち上げました。とは言っても、僕らが何もかもやるのではなく、気軽に集まれる空間をつくることで、自然発生的にいろいろなことが起きていけばと思っています。」と語り、先輩移住者として、いろいろと相談に乗ってくれることだろう。

「都会的な便利なものがもてはやされて、古き良きものがどんどん失われていくなかで、今がそれらを受け継げるラストチャンスなのだと思います。なので、若者がどんどん集まり、そして元々この土地で暮らしていた高齢者の方々と交流しながら、昔ながらの生活の知恵を受け継いでいけたらと思います。」(川元壮一さん)

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川元壮一・仁子さんご夫妻(「Cafeニジノキ」のデッキにて)

またさまざまな企業・団体で移住者をバックアップしている岩美町だが、「この話はどこに相談すれば良いだろうか?」「相談に行ったら、たらいまわしにされた挙句、結局解決できなかった」なんてことになったら意味がない。

そこで岩美町では、役場をはじめ、商工会、観光協会、金融機関、ハローワーク、自治会、農協、漁協などが、岩美町で新しい生活にチャレンジしようという若者を応援する「いわみチャレンジサポートネットワーク」を2015年に発足させ、岩美町でのチャレンジを多角的に支援する。

「やはり最終的には“人”が決め手になりますし、また地域で何をするにしても人のつながりが不可欠になります。そのとき『どこに相談に行けばよいか分からない』ということにならないように、きちんとネットワーク化したうえで窓口を設け、そして相談内容に応じて、適切な人物や団体へ橋渡し出来るようにしています。」(岩美町企画財政課 地域創生室 室長 谷口健一さん)

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さらに組織やキーパーソンに限らず、「住みたい田舎ベストランキング」総合第1位になったこともあり、一般の町民たちも、今まで以上に移住者が快く地域に溶け込めるよう、協力的な機運が高まっているとのことだ。

 

都市機能と自然環境を両方享受する~県庁所在地からわずか15分~

 

さらに特筆すべきなのは、岩美町のロケーションだ。鳥取県の県庁所在地・鳥取市に隣接していて、車でわずか15分、列車でも25分とかからず、“生活圏内”と言って全く問題がない。また岩美町で暮らし、鳥取市内の企業に勤務する人も多い。

東京の場合、いくら東京に住んでいると言っても、新宿や渋谷などの繁華街に出るにはそれなりに時間がかかるし、通勤・通学に1時間かかる人もざらにいる。逆に通勤時間が1時間以内の人は、わざわざ高い家賃を払って、騒音や汚れた空気に囲まれた生活を送ることになる。

一方で環境の良いところを望んで郊外のベッドタウンに住んだとしても、都心に比べたら自然があるかもしれないが申し訳程度であり、通勤時間もそれなりにかかることになる。

そんななかで最近は、平日は東京で働き、週末は自然豊かな田舎で暮らす、そんな「デュアルライフ(二拠点居住)」なるライフスタイルが一部で語られるようになったが、岩美町ならば、そんなことをしなくても、豊かな自然環境と便利な都市機能を両方手に入れることが可能だ。

うみねこ舎の川元仁子さんも「自然豊かな環境にも関わらず、車で15分で鳥取市に出られるので、都会から移住してくる人にとっても、いきなり山奥だとなかなか慣れるまでに時間がかかると思いますが、岩美町はバランスがちょうど良いと思います。」と語る。

なおスーパーマーケットや商店、総合病院など、生活するうえでの必要最低限な施設は岩美町内にも揃っているので、普段は町内で、ちょっとした買い物や用事は市内で、とすみわけている住民も多いようだ。

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岩美町役場の半径500メートル圏内には、スーパーマーケットや商店、銀行、病院、駅などさまざまな施設が軒を並べる

「豊かな自然環境だけど、街へのアクセスが不便。」「支援制度は充実しているけれど、地域自体に特色がない。」など、多くの地域は長所と短所を併せ持つ。そんななかで、自然環境も支援制度も便利さも、すべてを併せ持った町・岩美町は希少な地域ではないだろうか。

今回実際に岩美町を訪問したが、「住みたい田舎ベストランキング」総合第1位に輝いたのもうなずける、そんな町だった。

 

いわみ暮らし http://www.iwami.gr.jp/2224.htm

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喜瀬雅彦さん・紀代美さんご夫妻

「いつか海辺でカフェを開きたい」、そんな想いで2007年に岩美町に移住し、2014年に念願のカフェ「Beach Café & Outdoor “ALOHA”」をオープンした喜瀬雅彦さん・紀代美さんご夫妻。

そこで今回は喜瀬雅彦さんに移住の話や、岩美町での暮らしについてお話を伺いました。

 

-岩美町に移住される前は、どちらにお住まいだったのですか?

以前は岡山県倉敷市に住んでいたのですが、サーフィンを楽しむために、20年近くにわたり、週末には岡山から岩美町に通っていました。そのうちに「海辺でカフェを経営したい」「子どもをこの環境で育てたい」という想いが募るようになり、思い切って2007年に岩美町に移住してきました。

 

-サーフィンであれば、岩美町以外にもいろいろとスポットはありそうですが、なぜ岩美町だったのですか?

岩美町はとにかく海が綺麗で、ロケーションが良く、雰囲気がとても良いところに惹かれました。それに加えて、風をよけるポイントが近くて、移動にも時間がかかりません。サーファーにはたまらない場所ですね。

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-こんな素敵な場所でカフェを開きたいという想いで移住されてきたわけですが、移住してすぐにオープンされたのですか?

他の仕事をしながら、サーフィンが見える理想の場所を探し続け、移住してから7年でオープンしました。店をするにあたり、多くの方々の許可をお願いすることになりましたが、普段接していた方々が実は会長や役員の方々だと、その時に初めて知りました。岩美町の方々はとても謙虚な人ばかりですね。

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元々は海水浴場の監視所だった建物をリノベーションしてつくった「Beach Café & Outdoor “ALOHA”」

-こちらの人たちは、そういうことをひけらかすことなく、一住民として接してくれていたわけですね。

有り難いですね。特にお店を開くとなると、地域の人の理解や協力がなくては、絶対に無理ですからね。ただそれは別に岩美町だからとか、地方だからとかではなく、どこででも同じことですよね。

 

-確かにそうですね。そうやって地域の理解を得ながら、オープンにこぎつけたわけですね。

お店を開くことが了承された後は、予算をあまりかけられなかったので、1年ほどかけてほとんど自分で改装し、ようやく2014年にオープンにこぎつけました。

 

-今でこそ、あちこちで“リノベーション”がおこなわれていますが、まだ“リノベーション”なんてことが言われていなかった頃に、既に実践されていたのですね!ところで、ご夫婦だけでやられている割に、メニューが多いような気がしますが。

そうですかね。単純に、自分が食べたいメニュー、自分が食べたいボリューム、自分が払える金額、といった感じで「自分がお客さんだったら」と考え、自分が行ってみたいお店をつくりました。

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-なるほどですね。それでは最後に移住を検討している人にメッセージをお願いします。

移住するとなると、いろいろと大変なこともあるとは思いますが、私は苦労を苦労と思わず、全てプラスに考えるようにしてきました。悪いように考えてしまうと、絶対に上手くいかないですからね。なので、大変なことさえも移住生活の醍醐味だと捉えれば、毎日が楽しいことだらけです。前進あるのみです!

 

-それがベストなのかもしれませんね。有難うございました。

 

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鳥取県の最東北端に位置し、東は兵庫県、西は鳥取市福部町、南は鳥取市国府町に接し、北は日本海に面している。

全国トップクラスの透明度を誇る海、四季の移ろいある美しい山、源泉かけ流しの温泉など、多くの観光スポットを有するほか、近年は男子高校生の青春を描いた水泳アニメ「Free!」のロケ参考地になったことから、アニメファンの“聖地巡礼”でも人気を集めている。

 

<自然環境>

町の中央を、蒲生川が扇ノ山山麓から15Kmにわたって貫流し、日本海に注いでいる。川の周辺に農地、集落などが形成されているが、全体的には山林が多く、北に面して地勢が傾斜している。

日本海に面する東西およそ15Kmのリアス式海岸『浦富海岸』は、「山陰海岸国立公園」に指定されており、長年にわたって日本海の荒波と風雪によって浸食された断崖絶壁、洞門、洞窟、奇岩の中に、白砂青松の渚が点在している。また海中公園に指定されている海は、透明度も高く、暖流に乗ってきた亜熱帯魚も見られ、海水浴と併せて、シュノーケルやダイビングなどのマリンスポーツが盛んだ。

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<生活環境>

dsc_1197-300x199役場周辺を中心に、スーパーやホームセンター、病院、金融機関など、日常生活に必要な機能が揃っている。また県庁所在地である鳥取市内まで車で15分ほどなので、十分生活圏内だ。

子育て面においても、妊娠時、出産時、幼児期それぞれにおいて助成制度が用意されているほか、小学校は一クラス30名制できめの細かい教育体制を採ったり、スクールバス送迎(小学校)、バス定期代の助成(中・高校)など通学支援を行ったりするなど、子どもの成長に応じてさまざまな支援策を実施している。

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1件中国・四国
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鳥取県岩美町

  • 夏が涼しい
  • 海がある
  • 山がある
  • アウトドアスポーツが楽しめる
  • 温泉を楽しめる
  • 医療・福祉施設がある
  • 交流・体験・お試し制度がある
  • 育児支援がある
  • 住宅支援がある
  • 起業支援がある
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ルポ

なぜあの町が「住みたい田舎ベストランキング」総合第1位になったのか?(鳥取県岩美町)

口コミ

1件
行ってみたい

海がとてもきれいですね。行ってみたいです。

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