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九州・沖縄
ルポ

新しい風が吹く島で次代の担い手を育む(沖縄県久米島町)

子どもたちの交流施設「風の帰る森」の建設を予定しているというニュースが記憶に新しい、沖縄県久米島町。琉球列島の中で最も美しい「球美(くみ)の島」と称えられてきたこの島に、今、次々と新しい風が吹き込んでいる。

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「風の帰る森」イメージ図(イラスト:久米クリエーション 田場勝治)

その一つ、数年前から島が一丸となって取り組んでいる教育施策の一環として、公設民営塾(町と民間が連携して運営する新しい形態の塾)が2015年4月に久米島にオープンした。

公営民営塾とは何なのか?なぜ久米島なのか?そもそも久米島とは一体どんな島なのか?そんな疑問を解消すべく、東京から飛行機を乗り継いで約半日、梅雨明けの日差しがギラり眩しい初夏の現地へと向かった。

 

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羽田から那覇空港に降り立ち、那覇空港から久米島空港を結ぶ、小ぶりでかわいらしいプロペラ機(琉球エアーコミューター)へと乗り込んだ。定員は40名ほどで、大型のジェット機とは違い、上空で風の影響を受けやすいプロペラ機の機内は、身体に伝わる振動がやや大きい。

離陸から数分後には機体が安定し、シートベルトサインは消えた。かと思うと間もなく、小さく細長い窓から透き通った“ブルー”が目に飛び込み、那覇を飛び立ってわずか30分で着陸した。

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島で最も有名なイーフビーチ

沖縄本島から西に約100kmの位置に浮かぶ久米島。着陸後、事前に予約していたレンタカーを借りて、あてもなく島を一周してみる。島一周は車で40分もあれば十分そうだ。

車で島を一周するには、横幅が車4台分ほどに整備された県道を通る。コンビニは島に2つ。大型スーパーや医療施設も整っており、インフラは意外と充実している。

しかしそこから一歩、島の奥部へと分け入れば、民家の合間から「メエエ」とヤギたちの愛らしい鳴き声も聞こえてくる。

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夕暮れには、島一面のサトウキビが風になびく光景が見られた。細長い葉々が想い想いに揺れる姿に、一瞬で心を奪われる。

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歴史的に久米島は、古くから貿易の中継地点として、東西の文化を吸収し発展してきた。15世紀には島の支配者、伊敷索按司(ちなは・あじ:按司(あじ)とは琉球各地の政治支配者のこと)が南蛮貿易に尽力、島は栄華をきわめたという。

そんな歴史もあり、今でも久米島では、将来の再生可能エネルギーとして期待される「海洋温度差発電」の実証実験や、ガソリンを使わないEVバスの実証実験など、島外や海外の専門家を巻き込んだ新たなプロジェクトがいくつも始動している。言わばここは“未来を担う世界の実験場”と言ったところだろうか。

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久米島の沖縄県海洋深層水研究所に完成した海洋温度差発電プラント

そんな久米島が、今後のまちづくりの根幹として掲げているのが「教育」である。

久米島町では、2015年に今後10年間の町の施策をまとめた「久米島町第二次総合計画」を策定し、2025年の人口目標を8,500人(2015年時点8.034人)に設定した。その達成に向けた施策の一つが“教育”だというのだ。

「地元の子どもたちが行きたいと思い、また移住・定住を考えている人にとっても魅力的な高校をつくりたい。そのために、島の環境や魅力を活かした教育環境を整え、久米島だからこそできる学びの場を創っていきたいと思います。」と久米島町役場 企画財政課 濱元尚哉さんは語る。

人口流出を防ぐため、また、移住者を増やすためにも「教育」を充実させよう。島を元気にするには、教育が基本ではないのか。そんな島の未来を日々議論するなかで、地域住民有志の熱が行政や教育委員会、町商工会などにも広がり、島一体となって取り組む機運が高まっていった。

そしてそのときモデルとして着目したのが、島根県海士町にある隠岐島前高等学校だ。元々過疎化、若者流出に頭を悩ませていた海士町にて、一人ひとりのキャリア実現や学習意欲の向上を目指すとともに、「島留学」として全国から生徒を募った結果、現在では地域活性の成功事例として多くのメディアでも取り上げられるまでに至っている。

そこで早速久米島町の町議員らは実際に同校へ出向いて視察し、そして海士町をモデルとした「高校魅力化プロジェクト」を久米島で発足。そして2015年、島の人々の願いが結実し、高校生を対象とした公営塾が設立され、現在40名以上の生徒が公営塾に通っている。

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1階が塾で、2階と3階は島外生が寝泊まりする寮となっている

なお公営塾は、行政と民間が連携して運営する塾であり、町が設立した塾であるため、受験勉強や成績アップだけでなく、「島の未来を担う人材づくり」も目標の一つとして掲げられているのが大きな特徴だ。

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そして今回、新たにこの塾で高校生に勉強を教える学習指導スタッフを、地域おこし協力隊(久米島町嘱託職員)として募集することになった。

指導科目は国語や数学、理科や社会、どの分野でも良い。どれか自分の得意な分野で、生徒と向き合いながら勉強を教えてあげれば良い。

また授業は基本的に自立学習と個別指導で行われるため、集団指導の経験や塾講師の経験などは不要だ。知識を教え込む、というよりも、生徒と一緒に考えると言う方が的確かもしれない。加えて勉強の指導だけではなく、コミュニケーションやリーダーシップなど、さまざまなテーマにて生徒が主体的に参加していくゼミ形式のワークショップなども企画する。

実際の授業風景を覗いてみたが、生徒が自発的に勉強に取り組んでいることに驚いた。生徒一人ひとりに個別の学習プログラムが組まれていて、自分たちで学習目標に向けて意欲的に勉強している。そして指導スタッフは、「わからない」と悩んでいる生徒のところへ行き、一緒に考えてあげながら、理解をひきだすなど、生徒に寄り添う形で進めているのが印象的だった。

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「指導経験はないため、今でも戸惑うことはあるのですが、生徒がわからないことを理解できるように、私自身も勉強に励みながら取り組んでいます。『わかった!!』『あ、そっか!』と言って理解してもらえることが嬉しく、『もっと頑張ろう』という励みになっています。」とスタッフの一人、麓大地さんはやりがいについて語ってくれた。

 

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さまざまな可能性を秘めた沖縄の離島で学んだことは、きっと子どもたちにとって一生の財産になることだろう。そしてそんな財産を胸に、この子たちが新たな未来を切り拓いていくことになる。つまり子どもたちを育むとは、未来を創ることとイコールなわけだ。

未来は、いま、ここから始まる。

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<募集要項・応募方法(久米島町ホームページ)>

http://www.town.kumejima.okinawa.jp/information/careers_regional_cooperation_corps.html

 

 

 

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(左から)北中茉莉絵さん(兵庫県出身)、三木才代さん(東京都)、岡本耕平さん(東京都)、平山茉莉子さん(千葉県)、麓大地さん(鹿児島県)、山本愛美さん(兵庫県)、古谷龍二さん(埼玉県)、福澤花美さん(北海道)

 

まずは地域おこし協力隊に応募した理由やきっかけを教えてください。

(三木)久米島に来る前は、広告代理店に勤務し、総務や人事など会社の管理にあたる業務をしていました。一方で以前から子どもと関わる仕事や地域おこしに興味があり、転職を考えている時に、転職サイトでこの仕事を見つけました。

(北中)久米島に来る直前に大学(山口県)を卒業したばかりなのですが、在学中に山口県や福岡県などで、子どもたちに勉強を教えるNPOでボランティアをしていました。その活動がきっかけで地方の教育に関心を持つようになったのですが、そのとき教師としてではなく、別の立場で学校の現場に入りたいと考えていました。そして就職活動をしているときにこのプロジェクトを知り、「これだ!」と思って応募しました。

(平山)大学時代は教員になるための勉強をしていましたが、最終的に民間企業で働こうと考えて、卒業後は地元のホテルに就職しました。ホテルではコンシェルジュやフロントの業務、新入社員のメンターなどの仕事をしていたのですが、やはり教育に関わりたいという想いが高まっていたときに、このプロジェクトの存在を知り、応募しました。

(古谷)大学を中退し、その後は小学生向けの教育系学生団体を運営しながら、教育系の民間シンクタンクなどで働いていました。またNPOの方と、都立高校で社会問題を扱う授業を毎週運営したりもしていました。もともと学校現場に浸かってみたいと思っていて、大学をドロップアウトしてからもタイミングを伺っていたのですが、そんなときにこのプロジェクトを知り、応募することにしました。

(岡本)東京の理系の大学院で人工光合成の研究をしていたのですが、知人を通じてこのプロジェクトの存在を知り、興味を持ったので参加することにしました。正直久米島に来るまでは、久米島については名前を聞いたことがある程度で、どんなところなのか、ほとんど知らない状態でした(笑)。

(麓)福岡の大学で地域づくりについて学んでいたのですが、大学4年次に教育系のNPOの活動に関わるなかで、次第に教育の仕事に興味を持つようになっていきました。そして仕事として教育に携わりたいと考えていたときに、このプロジェクトを知り、応募することにしました。また生まれてからの13年間を鹿児島の離島で過ごしたため、育った環境と似ているからというのも大きかったですね。

(福澤)北海道の大学で数学を専門に学びつつ、中学校と高等学校の数学と情報の免許取得を目指して、教職課程を履修していました。久米島には何度も訪れたことがあり、いつか久米島で中学の数学教諭になりたいと思っていました。しかし故郷の北海道と沖縄では、それも特に離島では教育の現状が全く異なり、全国学力や学習状況調査などのデータだけでは見えないことがあると思い、実際の教育現場で生徒と関わりながら、沖縄の教育を学びたいと思ったので、応募しました。

 

皆さん、来る前から教育関連に携わりたいと思っていたり、中には実際に携わったりしていたわけですね。実際久米島ではどんな活動をされているのですか?

(北中)三木さん、古谷さん、福澤さん、そして私の4名は、島の中学校で学習支援員として働いています。私は主に文系教科の授業に入って、内容についていけない生徒のサポートをしたり、質問に答えたりしています。また休み時間や放課後には、マンツーマンなどの形で、学習フォローをすることもあります。

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(麓)残りのメンバーは、久米島学習センターの一員として、高校生を対象に学習支援を行っています。指導経験はないため、今でも戸惑うことはあるのですが、生徒がわからないことを理解できるように、私自身勉強に励みながら取り組んでいます。「わかった!!」「あ、そっか!」と言って理解してもらえることが、とても嬉しく、「もっと頑張ろう」という励みになっています。

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一方で仕事だけでなく、こんな素晴らしい環境だとプライベートも充実しているのではないですか?

(古谷)休みの日はよく生徒に釣りの誘いを受けたりするので、一緒に釣りに行ったり、生徒が通っているエイサーの練習に参加したりなど、日々沖縄らしさ、離島らしさを謳歌しています。また地域行事に誘われることも多く、ハーリーなどの沖縄特有の伝統行事も経験することができます。

(岡本)僕も地域の行事に参加させてもらったり、野山や海に繰り出したりなど、自由気ままに過ごしています。また島に来てから歴史に興味を持つようになりました。僕の出身地は新興住宅街だったので歴史がないのですが、ここには古くから受け継がれてきたものが多く存在します。そういったことを学び、それが現在にどう息づいているのか、根付いているのか、そんなことを想像するのはとても楽しいですね。

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久米島ライフを満喫している岡本さん。自転車は地元の人からもらったものだとか!

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休日は一眼レフを片手に島巡りをしている福澤さん

先進的な教育プロジェクトと久米島ライフ、それぞれ充実されているわけですが、任期終了後については、どのようにお考えですか?

(平山)地方の教育の活性化に役立つことがしたいと思っていますが、どのように関わっていくかは、あえて現時点では決めていません。任期中にできるだけ多くのことを学び、そして島や自分の地元に還元できればと考えています。

(麓)僕もまだ具体的には決めていませんが、関わる人の“理解者”でありたいとは常に考えています。好きな漫画の主人公の言葉に、「人助けとは何だ?」と聞かれて「理解者になること。乗り越えることは、変わることじゃなくていい。その人が今いる位置を認めて、愛しいと思えるように背中を押すこと。」というフレーズがあります。関わる人や生徒の理解者になるには何が必要か?まだ模索中ですが、まずは自分なりに、1つの形をこのプロジェクトを通じて見つけたいと思っています。

(古谷)将来は高校や中学校において行われている、キャリア教育の充実を目指すべく、第三者の機関として学校教育に一石を投じる、そんな取り組みが出来たらと考えています。

 

皆さんそれぞれ方向性や目標を持って取り組まれているのですね。それでは最後に応募を検討している方へ、一言メッセージをお願いします。

(三木)都市部とは違い、人との付き合い方が近いので、私自身、慣れないこともまだまだありますが、島の人は本当に優しい方が多く、生活もとてもしやすいところだと思います。「学力向上」「離島暮らし」「子どもと関わる」、これらのキーワードに引っかかったら第一歩です。自分から何事も楽しめる方にはとても向いていると思います。一緒に久米島の子どもたちのことを考えていきましょう!

(平山)離島の生活に不安がある人もいるかもしれませんが、ここでしか体験できないこともたくさんあります。変化を楽しめる人には向いていると思いますので、ぜひ実際に来て、まずは雰囲気を感じてほしいなと思います!

 

有難うございました。ますますのご活躍を期待しています!

 

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久米島は、沖縄本島那覇市の西方約100Kmの東シナ海に位置し、久米島本島及び奥武島・オーハ島の有人離島・鳥島・硫黄鳥島などの無人島から構成されている。

沖縄の離島として、沖縄本島、西表島、石垣島、宮古島に次いで5番目に大きな島であり、サトウキビの生産を中心とした農業やダイビングなどを目的とした観光産業が盛んである。

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<自然環境>
島全体が県立自然公園に指定されている。北西部にはラムサール条約登録湿地があり、豊かで貴重な生態系が育まれている。

北部から中央地にかけては、宇江城岳・大岳などの小さな山々が連なり、南部にはアーラ岳を中心とする山地となっている。島の中央部に連なる山地から海岸に向かっては、緩やかな傾斜地が広がり、耕地として利用されている。

 

<気候>
久米島は、1年間を通して温暖な気候に恵まれる南西諸島気候区に位置し、5月から11月頃まで本土の夏のような暑さが続く。なお5月中旬から6月中旬にかけて梅雨となる。

また11月以降も、冬といっても平均気温は16度~20度であるが、冬は曇りや雨の日が多く、また強い風を伴うことが多い。

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沖縄県久米島町

  • 冬が暖かい
  • 海がある
  • 山がある
  • 医療・福祉施設がある
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新しい風が吹く島で次代の担い手を育む(沖縄県久米島町)

口コミ

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沖縄県久米島町には、移住定住促進ポータルサイト「島ぐらしガイド」があります。

口コミと言いますか、中の人からの情報提供です(笑)。 沖縄県久米島町には、移住定住促進ポータルサイト「島ぐらしガイド」があります。 http://shimagurashi.net/ 求人情報や住宅情報、暮らしに関する情報提供や、 暮らしのQandA、オンライン移住相談などを行っております。 沖縄県や久米島町への移住(Iターン、Uターン)をお考えの方は、 ぜひこちらのサイトをご覧ください! http://shimagurashi.net/

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